自作スピーカーの作り方 | ピュアオーディオスピーカー試聴レビュー

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エンクロージャと吸音材
以前、相応の労力を掛けて自作したAudio Nirvana Super8 Cast Frameのフルレンジスピーカーは、徐々に引っ張り出してくる機会が少なくなり、遂にはエンクロージャを実家に置いてきてしまっていた。

JBL系の乾いた極めて抜けの良いユニットで、シンバルの「ジャララ〜〜ン」とした音色を簡単に再現出来るし、高能率を活かした音飛びに優れた音の良いスピーカーだったのだけれども、下記の1点が気に入らないがゆえ、一旦距離を置いたのだった。

・中高域の指向性が強すぎて音素の拡がりに欠け、リスニングポジションを激しく限定する

居なくなると不思議なもので、FOSTEX G1302では出せないカラカラに乾いた軽く「スコーン」と抜ける色彩の濃い音色が恋しくなるのである。

幸いユニットは手元に置いているので、ダイソーで各100円で買ったポリプロピレン製のダストボックス(約5.7l)に乗せて、密閉型スピーカーとして聴いてみると、素材の音が乗って好ましくない音だけど、何やら可能性を感じる。


※動画は一定期間経過後、削除する場合があります。

このダストボックスの素材であるポリプロピレンは内部損失が高くスピーカーコーンにも使用される素材なので、エンクロージャとしても使えそうだし、円形ユニットに適合した円柱型のエンクロージャも定在波を抑える点で有利に見える。
その他の特徴として、側面に細かい立溝が均等に走っていて、底に向かって僅かにシェイプした形状を持つ。

だんだん良い音がしそうな気がしてきて、吸音材を極端に増やすことはやっていなかったので、以下を実践してみた。
吸音材として使わなくなったシーツなり綿シャツなりを容量の30%(嵩高を含む。)程度放り込んでみる。
⇒ポリプロピレンの響きがかなり減退するものの未だ素材の鳴きを感じる。音素は直線的に飛ぶ。 

次に容量の60%(嵩高を含む。)程度を吸音材にしてみる。
⇒ポリプロピレンの響きを感じなくなる。音素は未だ直線的に飛ぶ。 

次に容量の90%(嵩高を含む。)程度を吸音材にしてみる。
⇒ポリプロピレンの響きは感じ無いが、音が少し詰まる。音素に拡がりが出て、中央定位を感じるエリアが3倍以上拡大する。
上の2つとは次元が違うというか同じスピーカーとは思えない位、トータルでの音質向上が感じられる。

吸音材を増やす毎に高域が3減退するなら、低域が2減退する感覚。
吸音した分、ボリュームを上げられる利点がある。
Audio Nirvana Super8 Cast Frameは高域が強めに出るユニットなので、吸音材を増やしているうちにバランスが良くなった感じ。
それでも高域寄りには変わらないし、大音量だと素材の色が残るけれど。

密閉型で吸音材を大量投入する方式は過去の名機と云われるスピーカーにも存在するし、音を聴く限りでは「有り」だと感じる。

この出音を聴くと前に自作したバスレフ型のエンクロージャは失敗作だと言えるなぁ。
この結果をフィードバックするべく、改良の為、近いうちに実家から引き上げてこないといけない。

最初からこういう些細なことを1つ1つ潰しておけば、遠回りしなくて済んだのにね。

結局、吸音材は75%(嵩高を含む。)程度にして一段落。
その後、ダクトを設けてバスレフにしてみると、吸音材は60%(嵩高を含む。)程度の場合が自分の好みの音色となった。

エンクロージャが内部損失の高い素材かどうか、吸音材がどれくらい空気を取り込む素材かによって好ましい吸音材の量は異なるのだろうけれど、密閉型の場合はバスレフ型よりも多めに投入した方が良さそうだ。

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自作スピーカー作成
高能率フルレンジスピーカーの音色が聴いてみたくて、自作スピーカーを制作してみました。

複数の自作用フルレンジスピーカーユニットの音色を試聴比較するのは極めて困難だったので、webでの評判やyoutubeでの動画を参考にし、海外ユーザの評判が良かったAudio Nirvana Super8 Cast Frame(オーディオニルヴァーナ 8インチ フルレンジスピーカーユニット)を購入しました。

youtubeで使用者を検索してもツィーターを追加している人がほとんど居ないし、スピーカーユニット設計者兼メーカーオーナーも「ツィーターは必要ないよ。」と言っていたので、20cmフルレンジ一発での設計です。

【自作スピーカーの作り方】
(*本サイト掲載分より画像が小さくなっております。)

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まず第一に仮箱を準備します。
スピーカーユニットを購入したら、大きさの異なる様々な寸法の段ボール箱を準備して、ユニットの特性を知る為の実験を行います。
※面倒な人はこの過程は飛ばしても構いません。

ここでは、箱の大きさや寸法が違っても変わらないスピーカーユニットの特性の判別に注力します。
・エンクロージャーの大小における差異
・エンクロージャーの幅や奥行きの長さの違いによる差異
・バスレフポートの大きさの大小での差異

本番ではエンクロージャーの材質が異なる為、音色が大きく変わるので、音色については、あまり意識を置かない方が良いです。

ダンボール箱の購入先:SBフレームワークス株式会社
その後のチューニングの手掛かりを得る為にも押さえておいて貰いたい工程です。

⊆作スピーカーを製作する際の大前提を設定する。
次に得られたスピーカーユニットの特性を意識して、どんなスピーカーを製作するかを設定します。

今回の場合は以下のとおりです。
・箱鳴りを活かした楽器的な音色にする。
・スピーカーユニット設計者兼メーカーオーナーが推奨する大容量バスレフ型で作成する。
・HARBETH HLCompact 7ES-3やSPENDOR SP2/3R2のフォルムが好みなので、エンクロージャーを大型ブックシェルフタイプにする。

L攤爐鮃愼する。
いよいよ木材を購入します。
エンクロージャーの材質については、硬過ぎず軟らか過ぎない気乾比重が0.63前後の素材がスピーカーに向きます。
初めてスピーカーを製作されるならば、適度な硬さと柔らかさを持ったシナ合板もしくはラバーウッド集成材をおすすめします。

今回は楽器的な鳴りを引き出す為に、前板にシナベニア合板を使用し、その他にシナランバーコア合板を使用します。
前板はスピーカーユニットの振動を抑える意味で硬い方が良いらしいので、強度の高いシナベニア合板(7層合板)を使い、その他をシナランバーコア合板にしています。
シナランバーコア合板はかなり柔らかい材質ですので、響きが多くなるはずです。
また音が軽くなる傾向があります。
響き過ぎた場合は、細工して少し強度を付加する予定です。

なお、シナベニア合板もシナランバーコア合板も非常に安価です。

ホームセンターでも入手可能ですが、切断精度が属人的で場合によっては少なくない誤差が生まれるので、スピーカー製作用に木材をカットしてくれる業者を利用します。
結果的に誤差は1mm以内に収まったので、カッティングの精度には満足しています。
ちなみに下記の業者は、購入代金5000円以上で送料無料ですし、ポイント10倍キャンペーンやセールも実施しているので、おすすめです。
また、見栄えを良くしたり、接合時の誤差を埋める際に活躍する木口テープも併せて購入出来るので重宝します。

購入した木材


シナベニア合板
・前板 21×254×541mm×2

シナランバーコア合板
・背板 24×254×541mm×2
・側板 24×258×493mm×4
・天板 24×254×258mm×2
・底板 24×254×258mm×2
代金 5453円(送料込み)
※メーカー推奨箱の寸法とは異なります。

木材の購入先:北零WOOD

ち鞍弔縫好圈璽ーユニットおよびバスレフダクト取り付け用の穴を開ける。


前板にスピーカーユニットおよびバスレフダクト取り付け用の穴を開けます。
ドリルドライバーに自在錘を取り付けて円形カットを試みましたが、ドリルドライバーのパワーが不足していて、板を噛んでビクともしません。
ホームセンターの店員曰くホビー用途の5000円程度のドリルドライバーでは、トルクが足らないとのこと。

自在錘が使用できないのは想定外だった為、ドリルドライバーで円形になる様に複数の穴を開け、のこぎりで切断する方法へ止む無く軌道修正します。







この作業は非常に労力が必要となり、やすり掛けやテーパー処理まで含めると両方で6時間程度要しました。
教訓1:円形カットは追加費用が掛かっても業者に任せるべき。
最終的には見えなくなる部分ですが、仕上がりと手間が違います。

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なんとか前板にスピーカーユニットとバスレフポート取り付け用の穴が開いたので、鬼目ナットを仕込みます。
鬼目ナットを仕込んでおけば、スピーカーユニットの取り外しが何度でも行える為、メンテナンスやチューニングが容易です。
逆に鬼目ナットを使用しないと、合板に開けたネジ口がすぐに磨耗します。

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前板は最後に取り付ける為、その他の板を接合します。
使用したのは、スピーカースタンド製作時と同様に今回もタイトボンドです。
*時間の経過によりボンドがカチカチに硬化する為、多少音抜けに有利らしく、ギター製作やスピーカー製作に用いられることが多いボンド

内部に吸音材を投入する。




内部に吸音材としてグラスウールを入れます。
かなりの嵩高なので、余分な分をカットしています。
バスレフの場合は吸音材は少量で良いでしょう。
なお、接着の為に合板にタイトボンドを塗り付けて、グラスウールを投入しましたが、ガラス繊維と木工用のタイトボンドの相性が悪かったらしく、あまり上手く接着できませんでした。
その為、淵の部分のみ両面シールを貼り付けて、再接着しました。
教訓2:グラスウールにはシート状の両面シールを使用した方が良い。
ちなみにグラスウールは目視出来ない位に微細な繊維な為、素手で触ると指に突き刺さりチクチクします。
また、飛散して吸い込む恐れがありますので、手袋とマスクを着用して使用してください。

┘好圈璽ー端子を取り付ける。




背面にスピーカー端子を取り付けます。
最大板厚25mmまで対応しているスピーカー端子ですが、手に入り難いのでヤフーオークションで入手しました。
内部配線材とは、はんだで接合します。
内部配線材として使用するスピーカーケーブルの違いによって。音色も異なりますので、あれこれ試してみるのも面白いです。

スピーカーユニットとバスレフダクトを取り付ける。


仮組みして音色を確かめる。


ここで一度仮組みをして、スピーカーの音色を確かめます。
吸音材の量を調節したり、内部補強したりして、音色のチューニングを行います。
フルレンジスピーカーの音色にチープな印象を持っていましたが、なかなかどうして非凡な鳴りをするので、見栄えを良くすることにしました。
真空管アンプに持っていた先入観が覆された時と同じ様な感覚です。
使ってみなければ解らないものです。

バスレフダクトの長さを調整する。


バスレフダクトの長さによって共鳴する帯域が変化します。
バスレフダクト有りの場合と無しの場合で、どの位音色が異なるかを確かめてみます。
仮箱を使用して実験した結果や仮組みした際に前板をずらして、隙間を大きくしたり小さくしたりして、上手く鳴っていると感じた共鳴点を思い出してチューニングします。
使用したバスレフダクトはFOSTEX P76です。
適度な強度を持ち切断も比較的容易です。

前板を接合する。
これで全ての合板が接合され、スピーカーエンクロージャーの完成です。

突板を貼る。


サペリの杢目の突板が厚突きで良さそうだったので購入しました。





スピーカーの側面に貼り付ける為、コニシボンドをべったりと塗り付けます。
同様に突板シートにもコニシボンドを塗ります。
100円均一で売られている木工用ボンドもコニシボンドと成分がほぼ同等なので、代用可能です。
コニシボンドが乾いたら、スピーカーエンクロージャーと突板シートをアイロンを用いて圧着します。
突板シート販売店のホームページに突板シートの貼り方が記載されているのですが、厚突きは0.6mmあるので、カッターナイフではみ出た部分を木目に対して垂直方向に切断することは不可能でした。

通常の0.3mm程度の突板シートの場合を前提として記載している様です。

教訓3:厚突きの突板シートはカッターナイフでは綺麗に切断出来ないので、薄突の突板シートを使用するか、寸法をきっちり合わせてから貼る。

教訓4:アイロンで圧着後に浮きが生じて、何度も圧着し直した為、コニシボンドはやり過ぎな位べたべたになるまで塗った方が良い。

また、合板を接着した際の僅かな段差は突板シートを圧着した際にボンドで埋まるだろうと考えていましたが、残念ながらボンドでは埋まりきらなかったので、やはりやすりがけは必須でした。

塗装する




塗装は苦手なので、前板を着色ワックスで塗り込みます。



最後に側板のサペリ杢目の突板を蜜蝋ワックスで仕上げました。





【感想】
高域寄りで音素が軽い明る過ぎる乾いた音色を持つスピーカーユニットですが、低域にキレがあり、解像度も高い方で、フルレンジスピーカーってここまで鳴るのかと感心します。
低域の解像度はいま一つで、高域になればなるほど解像度が上がっていく傾向です。

限界はありますが、スピーカーエンクロージャーの設計で重心を下に引っ張ってあげるとよりこのユニットの良さが引き立つ気がします。
アコースティック音源の鳴りの良さが特に優れていて、楽器的な音色が出ます。

しかしながら、極めて指向性が強く、頭を20cm程度横に移動するだけで中央定位がぶれる点が厄介です。
それから高能率のユニットだけあって細かい音を拾ってくれますが、同時にホワイトノイズも多めになります。
ただし、低音量時における各帯域のバランスの良さが低能率スピーカーの比では無いので、深夜にスピーカーで音楽を聴く際には重宝します。
指向性の強さと相俟って、ニアフィールドで聴く方が良さが生きる感じです。

また、サペリの突板が厚突きだった為か、突板貼布後に中低域が少し太くなり、悪く言えば少しだけ輪郭が曖昧になりました。
当初の高域の繊細さが僅かに薄れた気がするのが残念です。
上述の点は、スピーカーエンクロージャーの仕上げ次第では克服できるかも知れません。

結果的に言えば、名の知れたメーカーの市販品には高能率フルレンジスピーカーは存在しないので、作るだけの価値はあったかと思います。
少なく見積もっても製作に費やした価格以上の音質を持つスピーカーと言えます。

もう一度作る事が出来たら、仕上げの凄く良いスピーカーになるだろうと感じていますが、製作にもチューニングにもかなりの時間を費やしたので、もはやエンクロージャーを作り直すことは無いでしょう。
スピーカーユニットとバスレフダクトを取り付ける為の円形カットを業者にさえ頼んでいれば、きっと「自作PCを組むより簡単だった。」と言っていたと思います。

時間が無くても毎日1工程ずつ進めていけば、ゆっくり進める分上手く仕上がると思いますので、興味がある方は是非チャレンジしてみて欲しいです。

スピーカーが出来上がった時の充実感を経験するとスピーカーを何台も自作する人の気持ちが解る気がするはずです。
そこには後悔と満足と楽しさがあります。

【その後の考察】
当初の計画では少しばかり箱鳴りさせる目的で作成しましたが、完成したスピーカーエンクロージャーは箱鳴りを抑えたものとなりました。

高能率のスピーカーユニットは音素に重みが少ない分、障害物を越えてくる音の浸透力が低いので、柔らかいシナランバー合板でも24mmだと十分に鳴りを遮断できた様です。

またリスニングエリアが極めて大きな制約を受けるのは、スピーカーユニットが高能率で音離れが良い分、箱鳴りを抑えると音素が直線的に放出される印象があり、拡がりに劣るのも要因かも知れません。
ニアフィールドでもスピーカーの存在を消し去れるFOSTEX G1300や立って聴こうが寝転んで聴こうが定位がぶれないKEF IQ3等と比べると今回作成したスピーカーエンクロージャーは、音は良くても音像定位に問題があると言えます。

そして、従前に仮箱や仮組み時に鳴らした際よりも完成後に指向性が強くなった気がするのは、突板を貼り付ける為にべたべたになるまで塗りたくったボンドの硬化、エンクロージャー内外部に塗り付けたワックスによる被膜の生成および組み上げた合板の接合部を突板で覆う構造が更なる強度(硬度)の上昇をもたらしたからではないかと考えられます。
実際にスピーカーエンクロージャーを叩いた時の音が、少しだけ硬い音色へと変化しています。

音に拡がりが出れば、指向性が弱まりリスニングエリアが拡大するのかは解りませんが、木材の乾燥が進み音が落ち着いたら、次回試してみたいと思います。

【追記】
スピーカーネットを工夫して自作し、音素の拡がりを出そうと考えていましたが、試しに21畳の部屋から6畳の部屋へと設置場所を変更してみたら、指向性の強さから音素の拡がりが乏しくて空間に寂しさが残っていた印象が払拭されて、スピーカーが場所を得たかの如く上手く鳴っている様に聴こえ始めました。

ニアフィールドで聴く分には、リスニングエリアの狭さは気にならないし、このスピーカーユニットのもう一つの大きな特徴である音素の濃さを十二分に感じることが出来ます。

そして、何より高能率スピーカーの生命力のある音とエッジは明確なのに、耳に突き刺さらずにシャボン玉の様に消える耳当たりの良い心地良さがあります。
暗くてぼんやりとした眠い音とは正反対の音色であるにもかかわらず、眠気を誘うのです。

部屋の大きさに合ったスピーカーを選ぶべきなのは理解しているつもりではありましたが、もっと小さな市販スピーカーの方がスケールの大きな表現が出来る事に不思議を覚えます。
スピーカーユニット設計者が大容量エンクロージャーを推奨しているのを今更ながら理解しました。
それなりに大きな筐体をしているにも関わらず6畳が適当だとすると、21畳で不足無く鳴らすには、どれだけ巨大なスピーカーエンクロージャーが必要なのだろうかと考えただけでぞっとしますけれど。

ちなみに高能率スピーカーには高能率スピーカーにしか無い利点があり、低能率スピーカーには低能率スピーカーにしか無い利点があります。
どちらが上でどちらが下と云うものでもありません。
どちらの音が好みかどうかだけの問題です。

なお、手頃な価格の市販スピーカーの中で高能率なスピーカーとしては、Klipschが挙げられます。
Klipschユーザのレビューを読むと高能率スピーカーの特徴がより理解し易いでしょう。

・レスキューとして大活躍した工具
のこやすりL 250mm


オルファ H型鋸/カッターナイフ式鋸 (213B)


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